空が青い。あと丸い。
電車に乗り遅れそうだったので、早歩きで駅に向かっていた。
そんな余裕はないのに夏の快晴が目に入った。青々としていて実に夏だ。
住宅街の細い道から大通りに入った。空の青さに構っている暇はない。いくら夏の快晴が見事でも、空の青さに目新しさはない。空の青さを確認するだけの作業である。確認作業をしている暇はない。
大通りは長い直線である。見通しが良いせいか、私は空の丸さにも気づいてしまった。これはなかなか新鮮な発見だった。やはり地球は丸いのだ。
周りに建物がなかったら、もっと丸さが際立つのではないだろうか。草原か大海原に行ってみたくなった。
コペルニクスが地動説を唱える前から、船乗りは地球の丸さに薄々気がついていたらしい。
そりゃそうだ。空がこんなに丸いじゃないか。
むしろ天動説を唱えた人は何をやっていたのか。さては部屋から一歩も出ずに考えたなと私は睨んだ。
部屋に1人で篭っていると妙な理屈を考えてしまう。私も働いてないとき部屋に篭っていたのでよく分かる。天動説を考えた人にシンパシーを感じる。
調べてみたらエウドクソスという人が考案した説だった。エウドクソスさん自分も気持ち分かります。
けっきょく電車には一本遅れて乗った。
遅刻しないため会社まで少し走らなくてはならない。遅刻はせずに済みそうだ。