街と居場所
私の家の最寄り駅はなかなかの繁華街である。飲み屋が多く雑多な感じがある。
家から駅に向かう途中にタワーマンションが立っている。マンションに面している歩道は、樹木が植えられ整備されている。
私はその道を通った。木の下に二十歳前後の男が2人座っていた。
向かい合って胡座をかいている。地べたにはそれぞれのペットボトルジュースとタバコ、それとファミリーサイズのカントリーマアムが広げられている。片方のジュースはオレンジ色だったのでバヤリースかもしれない。
2人とも茶髪でセットアップのジャージを着ている。ヤクザの下っ端のような見た目だった。
ダサいと思った。どっか入れば良いのにと思った。カントリーマアムとバヤリースとタバコは合わないだろと思った。
その反面「良い」と思った。街を居場所にしている感じがとても良い。
フィクションの世界では、よく不良たちが街を居場所にしている。なぜか建物に入らずに路上にいる。
それって屋上で寝ている不良くらい、実際にはない光景だと思っていた。
繁華街の路上には意外と居場所がない。まず歩行者の邪魔になる。
私の目撃した不良たちは、歩行者の邪魔になっていなかった。
厳密にはマンションに面している歩道は、マンションの敷地内なのかもしれない。そこに居座るのは悪なのかもしれない。
「土地なんて誰のものでもない」そんな不良ならではの反骨精神も感じる。